『沈没船』は『タイムカプセル』。「沈没船が教える世界史」ランドール・ササキ

座礁している船趣味・教養・雑学

今回紹介する本は「沈没船が教える世界史」ランドール・ササキです。

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あなたは「沈没船」に興味がありますか?
「ダイビング」や「水中映像」が好きな方しか「沈没船」の存在をあまり気にしたことはないかもしれませんね。

今回紹介する「沈没船が教える世界史」は「沈没船」を調査する「水中考古学」について教えてくれる本です。
「沈没船」から過去の歴史につながる資料の発見や研究を行う「水中考古学」の世界に触れてみませんか。

ロマンあふれる「水中考古学」の世界

考古学とは遺物の出土状況や出土位置を正確に記録し、そこから昔の生活や様子を再構築する学問である。発掘の対象が水中の沈没船であっても、それは同じだ。

「沈没船が教える世界史」 ランドール・ササキ

「沈没船が教える世界史」の魅力は、

ロマンあふれる「水中考古学」の世界がわかる

ところです。

「水中考古学」とは、「水中の遺跡」を対象とした考古学のこと。
「水中の遺跡」とは、この本で多く触れられている「沈没船」などを指します。

「沈没船」をただ「引き上げる」だけではなく、「考古学」として発掘し、保存し、記録をする。ものすごく「ロマン」がありませんか?

そして「水中考古学」は陸上の遺跡の調査では決して知りえなかったことを明らかにするとのこと。
水中考古学がなければ知りえなかったことの例をあげれば、「紀元前1200年頃、人類はすでに青銅のリサイクルを行っていたこと」です。

その事実は「青銅の破片が船で運ばれていた(=沈没船の中から多くの青銅の破片が見つかった)」ことからわかったことでした。
逆にいえば、もしも船が沈没してなければ「永久にわからなかった」ことかもしれなかった。
たとえ陸上に「青銅の破片」があったところで、「保存されていたものが壊れた」のだとしか推測されないのです。
「船でわざわざ青銅の破片を運んでいた」ことを発見しなければ、たどり着けなかった「青銅のリサイクル」という事実。

そこにたどり着ける唯一の学問である「水中考古学」。
この「沈没船が教える世界史」は、その魅力をたっぷり知ることのできる本になっています。

「沈没船が教える世界史」と著者の紹介

「沈没船が教える世界史」の著者はランドール・ササキ
ランドール・ササキは水中考古学者です。1976年生まれの日系アメリカ人で、高校時代まで日本で過ごした後、渡米。テキサスA&M大学の大学院で「水中考古学」を学んだとのこと。

現在も「水中考古学」の世界で研究を続けており、「AbemaTV」などにも出演しているようです。
その活動の詳細は、ランドール・ササキが管理しているサイト「水中考古学/船舶・海事史研究」で知ることができます。

そしてこの「沈没船が教える世界史」は、ランドール・ササキが2012年に出版した「水中考古学」の本
「大航海時代」を主とする「沈没船」と「歴史」の関わりを紹介すると共に、「水中考古学」の方法論や可能性が示された本になっています。

「沈没船が教える世界史」の内容

沈没船

「水中考古学」のはじまり

「沈没船が教える世界史」ではじめに紹介されているのは、「水中考古学のはじまり」ともいえる「ケープ・ゲラドニャ号」の調査です。

「ケープ・ゲラドニャ号」は青銅器時代の紀元前1200年頃に沈没したと考えられている船。
この船の調査に、アメリカの考古学者「ジョージ・バス教授」が乗り出したことからこの「水中考古学」という学問がはじまったそうです。

ダイビング経験が皆無だった「ジョージ・バス教授」でしたが、ダイビング技術を身につけて自ら調査を開始したとのこと。
この調査ではじめて行われたのは「陸上の考古学の手法」を水中に持ち込むこと。

その調査の結果、発見されたものは、

  • 青銅器のリサイクルが行われていた証拠
  • ギリシャ文明やミケーネ文明と関わりの薄い「個人貿易」の可能性

といった、新たな歴史の解釈を可能とするものでした。

「水中考古学」はこの「ケープ・ゲラドニャ号」の調査によって誕生したのです。

大航海時代の沈没船

この本でもっとも多く紹介されているのは、15世紀~17世紀の「大航海時代」の歴史と「沈没船」についてです。
「沈没船」の調査のことだけでなく、その「沈没船」が生まれた歴史背景についても解説されています。

例えば最初に紹介されているのは、ポルトガルで発見された沈没船「ペッパーレック(胡椒難破船)」。その中からは「大量の胡椒」が発見されました。
ポルトガルの商船だったこの船が、なぜインド産の「大量の胡椒」を積んでいたのか。その理由が、大航海時代がはじまる背景と共に紹介されています。

その他にもこの本では、「大航海時代」以前のヨーロッパの沈没船や、日本を含むアジアの沈没船の調査のことが語られます。

すこし残念なのが、比較的「歴史」や「造船技術」の記述が多く「沈没船」そのものの調査についてあまり書かれていないこと。
それでも、日本に関わりの深い「元寇」で生まれた「沈没船」の話など、興味深い調査事例が紹介されています。

10年~20年かかる「水中考古学」

この本の最後に紹介されているのが「水中考古学」の研究手法についてです。

研究の一連の流れを示してくれるのですが、驚くのはその「時間感覚」
「水中考古学」の調査は、次のような流れで行われるとのこと。

1.事前調査2年~3年
2.発掘作業4か月~6か月
3.保存処理10年~15年
4.分析・研究3年~5年(保存処理と並行することも)

このように、一つの調査を終えるまで10年~20年がかかっています。
例えば、この本が出版された2012年当時でも、1982年に引き上げられた船がまだ保存作業中だそうです。

そして「発掘物の展示」は一通りの作業が終わった後に行われるとのこと。
博物館にあってもつい、何気なく見がちな「沈没船」などの水中の遺物の展示ですが、多くの時間と苦労が費やされているものだと改めて知ることが出来るのです。

「沈没船が教える世界史」のまとめ

「沈没船が教える世界史」の紹介でした。

この本が教えてくれるのは「水中考古学」という、あまり聞き覚えがない学問のこと。
「歴史のタイムカプセル」ともいえる「沈没船」には、過去の見方を変える多くの可能性が詰まっていることがわかります。

ぜひあなたもこの本を読んで「失われていたはずの歴史」を垣間見ることのできる「水中考古学」の世界に触れてみませんか。

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