事件のない日常の面白さ。「僕の人生には事件が起きない」岩井勇気

魚の絵小説・エッセイ

今回紹介する本は「僕の人生には事件が起きない」岩井勇気です。

Amazon.co.jp: 僕の人生には事件が起きない eBook: 岩井勇気: Kindleストア
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あなたの「日常」に「面白い事件」は起きてますか?
「そんなもの、そうそう起きないよ」と思われているんじゃないでしょうか。

決して「つまらないわけじゃない」だけど「事件という事件もない」。
そんな「日常」という感覚はどうやら、一般人だけでなく、華やかな生活を送っていると思われる「芸能人」にもあるようで……。

この「僕の人生には事件は起きない」は、「ハライチ」というコンビを組んでいるお笑い芸人である「岩井勇気さん」の「日常」をつづったエッセイ本です。

  • ハライチ岩井勇気のファンです!
  • お笑い芸人の日常をのぞき見してみたい

そんなあなたにおすすめするのが、この「僕の人生には事件が起きない」です。

「日常」を時に鋭く、時に面白おかしく

日常生活に違和感や疑問を持ち、想像を巡らせてみる。30代、独身一人暮らし、相方の陰に隠れがちなお笑い芸人がどんなことを考えながら日々の生活を送っているのか。

僕の人生には事件が起きない 岩井勇気

「僕の人生には事件が起きない」の魅力は「日常」の描き方です。

この本の「はじめに」でも語られていますが、著者には「大声で発信したいこと」も「みんなに聞いてもらいたい大事件」もない。
なのに文章を書くことになってしまった著者は、仕方がなく「どうでもいい日常」を書くことにした、とのことですが……。

そもそも「お笑い芸人の日常」が一般人にとっては知る機会がない、興味深いものです。
それだけでなく、その「日常」で「あんかけラーメンの汁」を水筒に入れて持ち歩き、こっそり背徳感を覚えながら飲んだりしている

そんな「日常」を読者が少しでも楽しく読めるように、時に鋭く、時に面白おかしく、様々な角度から文章にする。題材も内容も、表現方法も面白い「日常」。
それがこの本の魅力になっています。

「僕の人生には事件が起きない」と著者の紹介

「僕の人生には事件が起きない」の著者は、岩井勇気さん
お笑い芸人である岩井勇気さんは「ハライチ」というコンビのボケを担当。また、ネタも岩井勇気さんが書かれているとのこと。

岩井勇気さんはよくテレビに出演されていますが、有名なのは、相方の澤部祐さんほど人気がないことをネタとした「腐り芸人」キャラ
「腐り芸人」として(あくまでネタとしてですが)テレビ業界に鋭い正論をぶつけたりされています。

またテレビだけでなく、ラジオ「ハライチのターン!」や「ハライチ岩井勇気のアニニャン!」でも活躍されています。
独特のスタンスのトークが魅力のお笑い芸人です。

そしてこの「僕の人生には事件が起きない」は、そんな岩井勇気さんが書いたはじめての本
エッセイを書きはじめた経緯はこの本の「はじめに」で語られていますが……、これまで岩井勇気さんは、文章に関わることがあまりなかったそうです。
「漫画」や「アニメ」は好きだが、文章は「ライトノベル」ぐらいしか読んだことがない。「ネタ」や「Twitter」の文章は書いたことはあるが、それだけ。

そんな岩井勇気さんが書いたエッセイが集められたこの本。
岩井勇気さん自身で「要領がよくコツをつかむのが早い」と書いているように、どのエッセイにも、著者自身の魅力が表現されている。そんな本になっています。

「僕の人生には事件が起きない」の内容

メゾネットタイプの部屋

お笑い芸人という「日常」

この「僕の人生には事件が起きない」には、岩井勇気さんのエッセイが25本収録されています。

時折「日常ファンタジー」的な「日常」を基に想像を巡らせてみたという内容のエッセイもありますが、基本的には「日常生活」が描かれています。
例えば、

  • 後輩のお笑い芸人との付き合いの話
  • ショッピングモールでの営業の休憩時間に起こったこと
  • トーク番組に出演する際の打ち合わせの話

など。特に「芸能人」っぽいことが書かれているわけではありませんが「芸能人ってそんな感じの生活をしているんだ」という発見もあります。

だが、それはこの「僕の人生には事件が起きない」の魅力の本筋ではありません

事件が起きていなくても面白い

この25本のエッセイの中には「芸能人」がまったく関係ない話も書いてあります。
例えば、

  • あんかけラーメンの汁を水筒に入れて持ち運んだ話
  • 食べログで低めの点数のお店に行ってみた話
  • 自信が忘れっぽいという話

など。

本当になんてことのない「日常」の話なのですが……、それが「面白い」と感じるのは岩井勇気さんの「視点」と「表現方法」が優れているからなのでしょう。

「食べログ」の話でいえば、

数年前、ぼくは『食べログ』を知り、その素晴らしい教えに魅了された。そして月額300円+税というお布施を支払うことによって『食べログ』という神と契約したのだ。

僕の人生には事件が起きない 岩井勇気

という表現で「食べログ」を神として褒めたたえた後、岩井勇気さんに神罰が下る様子が描かれます
「さすが人を笑わせるプロ」なんだな、と思わせられる内容になっています。

そして時々「鋭い愚痴」

そんなつい笑ってしまうエッセイの合間に「愚痴」と思えるような内容のものもあります。

  • 昔の同級生と会った話
  • 親戚の葬儀での出来事

といったものですが、そのエッセイでは著者の「鋭さ」を見ることができます。
「笑える」という内容ではないのですが、著者の「本音」が現れているようで「それはそれで」面白い。

そしてこれら収録された作品の中で、ぼくがもっとも気になったのは、
「空虚なパーティー会場に”魚雷”を落とす」
というエッセイです。

タイトルもそうですが、内容もなかなかとんでもないものになっており……、他のエッセイの要素である「日常ファンタジー」「芸能人の日常」「鋭い愚痴」のすべてを備えた異質な魅力を放っています

「これって実話なの?」と思わせられる展開から、あの「梶井基次郎『檸檬』」のように話が終わっていく。
この不思議な魅力のあるエッセイを、あなたもぜひ読んでみてください。

「僕の人生には事件が起きない」のまとめ

「僕の人生には事件が起きない」の紹介でした。

「お笑い芸人」としての「岩井勇気さん」「ハライチ」も魅力的ですが、この本で生まれた「エッセイスト」としての「岩井勇気さん」の魅力には、この先もずっと触れていたいと思わせられます。

あなたもぜひこの本を読んで「岩井勇気さん」の事件がない「日常」の面白さを体験してみてください。

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