未知なるアマゾン川流域をめぐる旅行記。「巨流アマゾンを遡れ」高野秀行

アマゾン川の姿趣味・教養・雑学

今回紹介する本は「巨流アマゾンを遡れ」高野秀行です。

Amazon.co.jp: 【カラー版】巨流アマゾンを遡れ (集英社文庫) eBook: 高野秀行: Kindleストア
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あなたは「旅行」が好きですか? 国内や海外、様々な旅行先がありますが……。
今回紹介する本は、きっとあなたも「名前は知っている」だけど「具体的にどういう場所なのか」は知らない「アマゾン川」をさかのぼった旅の記録になっています。

  • 面白おかしい旅行記を読みたい
  • アマゾン川の船旅のことを知りたい

そんなあなたはぜひ、この「巨流アマゾンを遡れ」を読んでみてください。

未知なるアマゾンの旅行記

あー、いったいどんなところなんだろう? と大きく吐息をついたとき、旅の準備は、実は終わっている。もう、結論は一つしかないからだ。

「行ってみなくちゃわからない」

そこに、この本の出発点がある。

「巨流アマゾンを遡れ」 高野秀行

「巨流アマゾンを遡れ」の魅力は、

面白おかしい未知なるアマゾンの旅行記

というところです。

本書は元々、旅行ガイドブックである「地球の歩き方シリーズ」の一つとして制作されたもの。
時は1990年、舞台はアマゾン川。著者は取材旅行として4か月をかけ、アマゾン川下流にあるブラジルの「ベレン」という町から、アマゾン川上流にあるペルーの「イトキス」という町まで、船でアマゾン川をさかのぼっていきます

その旅は「取材」という割に、特にこれといって目的はありません。
好奇心のおもむくままアマゾン川をさかのぼっていき、最後にはその源流である「ミスミ山」へとたどり着きます。

その途中で「面白そうな人」と知り合えばガイドをしてもらい、「面白そうな出来事」があれば首を突っ込んでみる、という本になっています。

著者はこの本の「はじめに」で「普通の旅行者でもできる旅をした」と書いています。
しかしもう30年近く前の本になりますし、そもそも「アマゾン川流域」に行こうという「普通の旅行者」がどこまでいるのでしょうか。

この本はそんな、著者の他には誰も知らない、「未知」の世界へと向かう旅行記となっています。

「巨流アマゾンを遡れ」と著者の紹介

「巨流アマゾンを遡れ」の著者は、高野秀行さん
高野秀行さんはノンフィクション作家。早稲田大学の探検部に所属しており、探検部の記録をまとめた「幻の怪獣・ムベンベを追え」でデビュー。

その後も現在に至るまでノンフィクション作家として作品を発表されています。

そしてこの「巨流アマゾンを遡れ」は、著者としては2冊目の本であり、著者自身が書いているように「奇妙な運命をたどった本」です。
元々は「地球の歩き方シリーズ」として制作がはじめられた本書でしたが、著者が取材旅行を終えた後に書いたものはなぜか「アマゾン旅行記」になってしまったそうです。

一応その「アマゾン旅行記」に「ガイドブック部分」を追加して出版社に提出し、1991年に「地球の歩き方・紀行ガイド アマゾンの船旅」として出版されたそうですが、やがて絶版になってしまった。

その「地球の歩き方・紀行ガイド アマゾンの船旅」が12年後の2003年に文庫化されるにあたり、「ガイドブック部分」を削って「巨流アマゾンを遡れ」と改題したのが本書。
そんな奇妙ないきさつで書かれた本となっています。

「巨流アマゾンを遡れ」の内容

アマゾンの夕焼け

あなたの知らない世界

この旅行記はアマゾン下流、ブラジルの「ベレン」という町からはじまります。
その町の市場で過ごしながら準備を整え「対岸が水平線の向こうにある」ほど巨大な「アマゾン川」をさかのぼる旅がはじまるのですが……。

「ベレン」を出発する前夜に著者が見かけたのは「屋台で働く10代の女の子同士の喧嘩」。それは「知り合いの屋台の女の子」が、割ったビール瓶を手に、もう一人の女の子に襲いかかっているという物騒なものでした。

しかし、周囲の人は誰も止めようとしない。

結局、警察が来て喧嘩はおさまったのですが「誰も止めない」というのが著者にとっては非常に不思議なことだったそうです。
しかし、その後もアマゾンで見た「物騒な喧嘩」から著者は気づいたそうです。

この「喧嘩のあり様」に現れているのは「人々の誇りの高さ」なのだ、と。

「誇りが高い」から「自分のプライドが傷つけられたら黙っていない」。
そして開拓民の子孫である彼らは「自分の身は自分で守り」「他人のことには干渉しない」。

という風に、1990年当時の「アマゾン川流域の都市の出来事」や「著者がそのときに感じたこと」が、この本には記されています。
それは「写真」や「旅行ガイドブック」では決して知ることが出来ないものなのです。

日本の行商人にあった話

この「巨流アマゾンを遡れ」に書かれた多くのエピソードの中でも、特に驚くのが「日本の行商人に会った話」です。

著者は「テフェ」という町で知り合いと「待ち合わせ」をしていたそうです。
その知り合いは、著者と同じくこの本のための「取材旅行」をしていたとのこと。

彼は、著者とは反対にアマゾン川上流のペルー側から「アマゾン川を下ってくる」旅をしており、途中で情報交換をする予定だったのです。

その「待ち合わせ」の中身は「12月1日~12月6日の間 テフェの市場の隣のバー」で落ち合うというもの。
スマホが普及し、どこでも連絡のつく今の時代では考えられないほどアバウトな待ち合わせですよね。

当然、連絡手段もなく、途中で何かあったら合流するすべもない。
そして「テフェ」にたどり着いた著者は、その知り合いと合流しようとしましたが……、「市場の隣のバー」にも「ホテル」にも知り合いは見つからなかった。

結局、その知り合いは「市場」で行商人をしているところを発見されます。

その姿はやせ細り、知り合いである著者もすぐには知り合いだとわからないほどの状態になっていた。なぜこんなことになっているのか?

著者はもちろん、再会後にそのいきさつを知り合いから聞き出すわけですが、そのいきさつは非常に不運なことばかり。
そして「せいぜい30年前」のことですが、とても現代では考えられないような体験をしています。

「現代のブラジルではどうなのか?」
「現代のどこで誰とでも連絡がつく時代に慣れた人間では、そんな状況では生き抜いていけないのでは?」

「日本の行商人に会った話」は、そんなことをつい、考えさせられるエピソードとなっています。

旅の終わり

そのほかにも、現地で知り合った「ガイド」とワニ猟をしたり「コカインの元密売人」と知り合いになったりしているうちに、著者は「イトキス」という町へたどり着きます

この「イトキス」で船を降りた著者は飛行機で移動し、その後、陸路で「ミスミ山」という山へと向かいます
なぜなら、そこが「アマゾンの源流である」から。

しかしその道中は過酷で、車の確保もままなりません。
結局、「ミスミ山」にたどり着くのはあきらめ、遠くから見るだけにしたそうです。

その感想は「ぱっとしない山だ」というもの。
「アマゾンの源流」もちょっとした川筋に過ぎなかったそうです。当然「ミスミ山」周辺に住んでいる人たちも、「巨大なアマゾン川」なんて見たこともない。

しかしそれでも「巨大なアマゾン川」を遡ってきた著者は、その「源流」を目にしたことに満足しながら、その旅を終えるのでした。

「巨流アマゾンを遡れ」のまとめ

「巨流アマゾンを遡れ」の紹介でした。

大きな目的もなく、アマゾン川さかのぼる旅をするだけの本書。
しかしその内容には「聞いたことも見たこともない町」と「そこに生きる人たちの現実」が面白おかしく書かれています。

すでに30年近く前の本ですが「じゃあ今はどうなっているのだろう?」という興味も湧きたたせてくれます。
あなたもぜひこの本を読んで「未知なるアマゾン」への旅を追体験してみてください。

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